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×2020年4月→改め2021年3月よりJOCVとしてケニアへ。いろいろ情報発信ができるといいな

Rock in Kenya!! ロック&ヒップホップ編

2022年になりましたね。ケニア生活10ヶ月目に突入です。
考えてみると、もう来年は帰国なのだなぁ、と。来年の今ごろには、どう活動を締めるかでバタバタしていそうな気がします。
そんなことを言ってると鬼が笑いますねw

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ケニアには虎はいないので、こちらで...

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もう10ヶ月近くもケニアにいるのに、ケニアの音楽をあまり聴いてこなかったな、というのが2021年の反省の一つです。
とはいえ、ローカルな音楽から手を出すのはなかなかハードルが高かったりします。

例えば、これは私のカウンタパートが好きなシンガーの曲なんですが、キクユ・ポップスの一大ジャンルである、クリスチャン・ソングです。一種のゴスペルなんですね。彼女のようなシンガーは、日曜日などに教会で歌うのだそうです。

キクユ人は最多数派民族だけあって、キクユ語のテレビ局・ラジオ局もありますし、独自の音楽シーンが存在しているようです。いずれはもっと掘り下げてみようとは思っていますが、いまいち食指が動かないんですよね...

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何事もまずは自分の得意分野から攻めていくのがいいと思っています。私は25年来のロックリスナーであり、ケニアの音楽を開拓していくならまずはロックからでしょう。

調べてみると、ナイロビにはけっこう大きなロックシーンが存在しているようです。さすがは大都会ナイロビ。
いくつか良かったバンドを以下に紹介していこうと思うのですが、その前に音楽プラットフォームを押さえておく必要があります。どうやって音楽を聴くか、ですね。

最近の音楽プラットフォームはストリーミング/サブスク一色になりましたね。Spotifyとか。AmazonAppleやLINEの配信サービスとか。月額1,000円くらいで聴き放題らしいですね。すごいことです。

私自身は、サブスクは使ってません。ミュージシャンに対する還元率が低いと聞きますし、そんなにたくさん選択肢があっても聴けないですし、何より古い人間なので...

かと言って、ここ何年かの自分の生活スタイルを考えると、昔のようにCDやLPをせっせと集めるわけにもいかないので、必然的にパソコンやスマホで聴ける音源がメインとなります。そんな私がケニアのロックを探すのに使うプラットフォームはこちら!

YouTube

やはりYouTubeは最強だと思います。どんなミュージシャンでも、YouTubeにまず音源をアップしているイメージ。ケニアに限らず、新しくミュージシャンを探すには最高の入り口ですね。(そして最終手段でもありますが...)

 

②Bandcamp

私が最も信頼する音楽プラットフォーム。ちゃんと試聴できて、ミュージシャンにしっかりお金を落とせる。古いタイプのリスナーにも受け入れられやすいプラットフォームではないかと思います。

 

③ReverbNation

これはケニアのミュージシャンを探している過程で見つけたプラットフォームです。昔流行ったMy Spaceに似てる気がします。アーティストの国別で検索できたりと、わりと良さげなんですが、音源の販売機能には課題がありそう。

 

④Mdundo

こちらはSound Cloudに似てる。どちらかというと無料配信がメインみたいで、ちゃんと音源を買うのには向いてなさそうです。YouTubeと同じく、入り口として使うしかないでしょうか...

 

Amazon

意外にも、日本のAmazon Musicでもケニアのバンドをいくつか扱ってるのですね。もちろん数は多くないですが、ちゃんと購入して聴けるというのはありがたい。

 

レコード屋

若かりし日には最も重要なプラットフォームでしたが、めっきり行くことはなくなりましたね。ティカにレコード屋があるのかどうか不明なんですが、Google Map上ではいくつかあることになっています。果たしてそこで、ケニアのロックバンドのCDを売っているのか?あるいは、ネットから落としたmp3ファイルを勝手に販売しているだけなのか?気になるところです。

 

前段が長くなり過ぎましたが(1800字超えてる...)、上に挙げたようなプラットフォームのリンクも貼りつつ、ケニアのロックバンド/ミュージシャンたちを紹介してみたいと思います!Stay Tune!
音楽用語使い放題で意味が分からないと思いますが、YouTubeの動画だけでもBGM代わりにしてもらえれば幸いです。

 

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Bedslum

今のところのイチオシのバンド。2011年結成の3人組。アコースティック感強めで、00年代USインディロックやエモの雰囲気をまとい、ざらついた感触を持ちつつも、繊細さが見え隠れするバンド。アルバムリリースはなく、Reverb NationとMdundoで全4曲が公開されているのみです。無料ダウンロード可能。YouTubeの動画は2015年のものが最後なのですが、2020年7月のインタビュー記事が存在しているのでおそらくまだ活動しているのではないかと思います。

 

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The Villagers Band / Chris Adwar & The Villagers Band

2005年結成。1940年代に誕生したナイロビのポピュラー音楽ジャンルである「ベンガ(Benga)」のバンドとして活動しているそうですが、この曲みたいに、かなり今っぽく洗練された曲もやっています。それでも先に挙げたBedslumに比べたら、断然アフリカっぽさありますね。過去にアルバムをいくつかリリースしているようなのですが、見つけられるかな...?Mdudoで何曲か無料ダウンロードが可能。YouTubeにもたくさん動画をアップしてます。Facebookが2020年に更新されているので、まだ活動中っぽいですね。

 

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Murfy's fLaW

2008年結成。男女ツインヴォーカルを擁し、60年代ハードロックやサイケデリック・ロックから、90年代以降のオルタナティヴ・ロックやポストハードコアまで、幅広いジャンルを参照して、アルバム内で様々な顔を見せる芸達者なバンド。これまでに3枚のアルバムをリリースしており、全作品がBandcampで試聴・購入できるので断トツで音楽にアクセスしやすいバンドです。YouTubeにもたくさん動画を上げてるので、それを見るのも楽しい。

 

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Just A Band

2008年、ケニヤッタ大学の学生であったメンバーによって結成。ジャズ、ファンク、ハウス、エレクトロニックなど様々な音楽の要素を取り入れたバンド。ミュージックビデオも本人たちがこだわりを持って制作したそうで、どれもおもしろいです。Bandcampで3作目のアルバム『Sorry for the Delay』を試聴・購入することができます。1枚目の『Scratch to Reveal』もAmazon MusicSpotifyで聴けるようですが、2枚目の『82』は...(マイナー音楽を漁っていると避けられないことです)
2016年以降バンド活動を休止中。

 

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Dove Slimme

この曲を聴くと、00年代USのポップさはじけるインディ・ロックだとしか思えないのですが(曲のタイトルがスワヒリ語であることを除けば、ですが)、ほとんど代表曲詐欺みたいなバンドなんですよね、このDove Slimmeというバンド。たぶんバンド内に曲をつくるメンバーが2名以上いると思うのですが、プログレッシヴ・メタルみたいな曲をやってたり、ポストロックみたいなのをやろうとしたりしていて、この「Leo ni Leo」みたいなポップな曲はむしろ彼らのレパートリーの中では例外中の例外、みたいな感じです。バンド内で音楽の方向性にずれがありすぎる印象ですねこの曲を収録したミニアルバム『Cool on the Inside』(1曲目はケニア国歌で始まります)が、Amazon Musicで聴けるのでおためしあれ。Bandcampでも何曲か購入可能。

 

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Simply Tomas

ロックシンガーで、おそらくはソングライターでもあると思われますが、彼に関してはいまいち分からないのです。なぜならホームページが死んでいるし、SNSも2018年以降更新されていないので。何があったんでしょうか。Reverb NationやMdundoにも音源や情報がないので、YouTubeに何曲か上がっている曲を聴くくらいしかできなさそうですね...彼のミュージックビデオは、「俺は音楽でのし上がる」みたいな内容のものが多くて、ケニアのミュージシャン観を理解する一端になる気がします(笑)

 

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Naomi Wachira

アメリカのインディ・フォークみたいな音楽をやってる人だな、と思ったら、ケニア人とアメリカ人の両親を持つシンガーソングライターだそうです。彼女の作品はけっこうアメリカでレコーディングされてるみたいだし、本当に「ケニアのミュージシャン」と呼んでよいものか迷うところですね。彼女のBandcampページは大変充実しているのですが、驚くのは価格設定。15ドルのアルバムがあるのでびっくりします。だいたい欧米のミュージシャンがBandcampでアルバムを販売する場合は、7~10ドルくらいが相場なので。12ドルだと強気な価格設定だな、って思っちゃうくらいです。まぁでも彼女みたいな音楽性を好む人は多そうなので、強気な価格でもいけるのかもしれません。

 

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Abbas Kubaff

「ロック&ヒップホップ編」と題しながら、ヒップホップはこれだけです(笑)
日本で派遣を待っていた時期に、スワヒリ語の先生が教えてくれたラッパー、アッバス・クバフ。スワヒリ語ヒップホップ・シーンの大物らしいです。
正直なところ、ヒップホップのことは何にもわからないので、詳しい人に論評してほしいです...(無責任)

ケニアを取り巻く音楽シーンには、いくつかのレイヤーが想定されるわけですが、言語が一つの重要なレイヤー分けになります。

今回の記事で紹介しているような、英語で歌われる欧米っぽいロックは、スワヒリ語で「Watalii」と呼ばれるそうです。スワヒリ語で「観光客」の意味なんですが、日本語の「洋楽」にニュアンスが近いのではないでしょうか。

その対極には、冒頭で紹介したような民族語で歌われるローカルなポップスが存在します。キクユ・ポップは、基本的にはキクユ人をターゲットにした音楽であり、同じ国内であっても他民族をターゲットにはしていないはずです。

そしてその中間にスワヒリ語の音楽シーンが存在するわけです。スワヒリ語で歌うことは、ケニア国内をターゲットにするだけにとどまりません。スワヒリ語の話者は、ケニアタンザニアを中心に、ウガンダルワンダコンゴ民、ソマリアなど数か国にいて、話者人口は1億人を超えると言われています。
それほどの大きな市場があるため、ケニアタンザニア以外の国のポップ・ミュージシャンたちもスワヒリ語で歌うのだそうですよ。

ヒップホップは、ケニア国内ではメジャーなジャンルだと思います。なんだかんだ言って、やはりブラック・カルチャーが人気があるんじゃないかと。レゲエとかR&Bとかもメジャーみたいですしね。

去年のオリンピックの時期、ネットのニュースを見てると、当然ながらケニアや他のアフリカの国の選手の活躍が伝えられるんですが、それ以外に海外の黒人選手の活躍を報じるんですね。アメリカとかジャマイカとかの選手が何位になった、という。
オリンピックに出場してるケニアの選手はそんなに多くないので、ケニア選手のネタだけでは全然足りないというのはあるんでしょうが、おもしろいなと思ったんですよ。何らかのシンパシーがあるんだろうな、と感じました。

Abbas Kubaffの曲は、YouTubeでもReverbNationでもたくさん聴けます(ReverbNationでは何曲か無料ダウンロード可能。他に、ドイツ・ミュンヒェンの音楽レーベルOuthrere Recordsのコンピレーション・アルバム『#NuNairobi - Kenya's music hub』にも何曲か参加しています。現在のナイロビの音楽シーンの一端を垣間見れる、良いコンピです。

outhererecords.bandcamp.com

 

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このブログを始めて一番気合い入った記事になりました。おおいに自己満足しました(笑)

近いうちに続編「ヘヴィメタル&ハードロック編」を書く予定です。ますます誰もついてこれないブログになりますね。乞うご期待!